大家好〜AriMiYaです。
台南の北門区に、少し変わった神様が祀られているお宮があります。その名も「猪母廟(鎮海大将軍小祠)」。
猪母、つまり母豚が神様になった場所です。

日本統治時代に始まったひとつの物語
時は日本統治時代。ある屠殺場に、妊娠している一頭の母豚がいました。屠殺人は「身ごもっている動物を殺すのは忍びない」と情けをかけ、彼女を逃がしてあげました。
逃げ出した母豚は、北門の「井仔脚」という場所に辿り着きます。しかしお腹を空かせた母豚は、周辺の村人たちの作物を荒らして食べてしまいました。怒った村人たちが追いかけ回したところ、パニックになった母豚は深い溝に落ちて死んでしまいます。
解体しようとして、初めて彼女が妊娠していたことに気づく村人たち。当時は「身ごもった動物を殺すのは不吉」という強い忌み嫌いがありました。恐ろしくなった村人たちは遺骸を海に捨てましたが、その後、夜な夜な母豚が子豚を呼ぶ悲しい鳴き声が聞こえるようになり、海難事故が続くなど不穏なことが相次ぎます。
神様のお告げと祠の誕生
困り果てた村人たちが地元の神様(興安宮の紀府千歳)に助けを求めたところ、こんなお告げがありました。
「母豚のために祠を建て、像を彫って祀れば平穏が訪れる」
こうして亡くなった母豚は「鎮海大将軍」という称号を与えられ、猪の頭に人間の体という独特の姿の神像として祀られるようになりました。
化粧品がお供えされる神様
この猪母廟、豆知識がいくつかあって面白いんです。
場所は台南市北門区井仔脚。有名な「井仔脚瓦盤塩田」のすぐ近くにあります。
ご利益は家畜の守護だけでなく、子宝や子供の健康を願う人々も訪れるそうです。そしてこの神様が「女性(雌)」であるため、お供え物として化粧品や口紅、鏡などが供えられることがあります。
なんともユニークですね。
万物に霊が宿るという感覚
逃げ出して、お腹を空かせて、追いかけられて、溝に落ちて死んだ母豚。その魂を「ただの豚」として終わらせず、神様として祀り直す。
そういう感覚が、台湾の民間信仰には自然に息づいていふと思います。人間も動物も、万物に霊が宿るという考え方。理屈ではなく、長い時間をかけて積み重なってきた生活の中の感覚なんだと思います。
台南に行くたびに、こういう小さなお宮や知られざる伝説に出会うのが好きです。ガイドブックには載っていないけれど、その土地の人たちの心が詰まっている場所。
北門に行かれる際は、塩田とあわせてぜひ立ち寄ってみてください。

○猪母廟(鎮海大将軍小祠)
台南市北門區井仔脚https://maps.app.goo.gl/wseEdbgsDzzr2fKy8?g_st=ic
アクセス
北門エリアは台南市街からやや離れているため、車やタクシーが便利です。
タクシーの場合
台鉄台南駅から約1時間。行きと帰りで待ってもらう交渉をしておくと安心です。
バスの場合
台鉄台南駅(北站バス停)から「藍幹線」に乗り、「佳里站」で「藍2支線」に乗り換え、「井仔脚」バス停下車、徒歩約5分。乗り継ぎがあるので時間に余裕を持って。
新営駅経由の場合
台鉄「新営駅」下車後、台湾好行61西浜快線シャトルバスに乗り換え、「泰安宮(井仔脚塩田)バス停」下車。















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